ー コラム
情シスの新設は、
何から始めればよいですか
目次
0.結論
1.よくある入り方で、つまずく理由
2.実際の手順(4つのステップ)
0.結論
情シスの新設は、
人の採用や組織の箱づくりではなく、
情シスの役割を決めることから始めてください。
最初の一歩は、いま誰が何をやっているかを、1枚に書き出すことです。
予算も決裁もいりません。今週から、自社だけで始められます。
うまく進む会社と、つまずく会社では、順序が違います。
よくある順序 箱 → 人 → 仕事
うまくいく順序 仕事 → 役割 → 人 → 箱
では、ゆっくりと始め方をみていきましょう。
1.よくある入り方で、つまずく理由
情シスの新設を考えるとき、相談はたいてい次のどちらかの形で来ます。
▸ ITの分かる人を、採るべきか
▸ 情報システム部を、つくるべきか
どちらも「人」と「箱」の話です。組織をつくるのですから自然な発想です。
◆ よく見るのは、採用から始めるケース
人事部や人材会社に相談し、まず1人目の情シス経験者を採用する。
動き出しとしては自然で、多くの会社がここから入ります。
ただ、この時点で決まっていないことがあります。
▸ 自社のITで、解決したい課題は何か
▸ その先に置くゴールは何か
▸ 情シスに求める役割は、どこまでか
この3つが定まらないまま募集すると、募集要項/人材要件が抽象的になります
「社内SE募集。社内ITインフラ全般」
といった形です。
そして、2つのことが起きます。
① 採用時のミスマッチ
要件が抽象的なため、応募者と面接官が同じ絵を見られません。
入社後に「聞いていた仕事と違う」が、双方から出てきます。
② ITの作業者を採用する
手は動きます。PCの設定も、トラブル対応も進みます。
それでも、何を導入するか、いくら使うか、誰に任せるか
という課題は、手つかずのまま残ります。
◆ これは、誰かの落ち度ではありません
人事部や人材会社は、採用のプロです。
ただ、ITの要件を言葉にする仕事は、本来は情シスの領域にあります。
その情シスが、まだ社内にいません。
要件を書ける人を採るために、要件を書ける人が必要になる。
最初の一歩でつまずきやすいのは、この構造があるからです。
順序を変えれば、ここは越えられます。
◆ 箱と人から始めると、何が起きるか
サービス業・社員数100名・システム担当1名の会社を例にします。
▸ 情報システム部をつくったものの、
業務分掌(=部門の責任範囲を定めた規程)は1行のまま
▸ 採用したものの、何を任せるかが決まっておらず、本人も動きにくい
▸ ベンダーに設計を任せたものの、提案を比べる材料を自社が持てない
いずれも、悪いことが起きているわけではありません。
ただ、期待していた変化にはまだ届いていません。
共通しているのは、入れ物が先にできて中身が後から追いかけている点です。
2.実際の手順(4つのステップ)
◆ ステップ1 いま誰が何をやっているかを、書き出す
最初にやることは、採用でも組織づくりでもなく、棚卸しです。
次の5つを書き出します。
▸ 誰が 部署 + 担当者名
▸ 何を 業務名
▸ どの頻度で 日次/週次/月次/年次/都度
▸ 何を使って システム・ツール名
▸ 誰に頼んで 外注先(あれば)
書き出すときのコツが、3つあります。
① 完璧を目指さない
30分で書ける範囲から始めて構いません。
抜けは、後から気づいた人が足せば足ります。
② 「ITに関わる仕事の全部」を書く
経理が払っているサブスクの支払いも、総務が管理しているPCの棚卸し
も入ります。範囲を先に狭めると、空白が見えません。
③ 担当者名まで書く
部署名で止めると、属人化が隠れます。
名前を書いた瞬間、「この列、同じ名前ばかりだ」が目に見えます。
見落としやすいのは、次のような業務です。
▸ 入退社、異動、組織変更時のアカウント作成・削除
▸ PCの購入、初期設定、棚卸し
▸ サブスクリプションの契約更新と支払い
▸ 取引先から届くセキュリティチェックシートへの回答
▸ ベンダーからの問い合わせへの回答
▸ バックアップが取れているかの確認
▸ 計画停電時の対応
▸ 「◯◯さんに聞けば分かる」で回っていること
最後の1行が、この作業でいちばんの収穫になります。
書き出した瞬間に、それは「業務」になります。
◆ ステップ2 4つの役割のうち、どれが空いているかを見る
ITには、部門の有無にかかわらず、4つの役割が発生しています。
▸ 戦略や方針の策定・推進
▸ システムや機器、契約や支払いの管理・運用
▸ システムや機器の導入・入れ替えの推進、全体最適
▸ 情報セキュリティの統括
書き出した一覧を、この4つに当てはめます。
埋まっている役割と、誰も担っていない役割が見えてきます。
多くの場合、埋まっているのは2番目と3番目。
空いているのは、1番目と4番目です。
◆ ステップ3 担当者より先に、管理者を決める
ここが、いちばん大事なところです。
空いている役割が「戦略」と「統括」だった場合、
必要なのは作業をする人ではなく、決める人です。
組織図の上では、総務部長や管理部長がITの管理者になっている会社が
多くあります。形としては、正しい配置です。
ただ、IT運用の面倒を見ることと、IT全体を統括することは、
別の仕事です。
前者は担えても、後者まで担うには専門性と時間が要ります。
そして、この状態は報告に上がりにくい。
「できていない」とは言いにくく、経営の側も、何が足りないかを知る
手立てを持っていません。
担当者を採用しても、決める側の空白はそのまま残ります。
だから、管理者を先に決めます。
◆ ステップ4 業務分掌に、数行足す
最後が、箱と文書です。
▸ ~30名 総務部の文章に1行
▸ 30名~ 総務部の分掌に数行
▸ 100名~ 情報システム部として独立した条文
組織の成熟が、文書の量に表れます。
箱を先につくらなくても、責任の所在は文書で定まります。
情報が整うと、判断が速くなります。
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